踊り子の魔女のあらすじ リンクを取得 Facebook × Pinterest メール 他のアプリ 小さな町に住む、主人公のマリー。彼女は精霊と出会う。そして旅に出て世界を知り、精霊術を学び、やがて大きな夢に挑戦していく物語。 リンクを取得 Facebook × Pinterest メール 他のアプリ コメント
踊り子の魔女 第一話:見えない踊りて もっとしなやかに、でも早く鋭く。 ステップのリズムを崩さず、足先から、指先まで、きれいに伸ばす。 毎日毎日、より力強く、より美しく、見ている人の心を動かせるように、ダンスの練習を続ける。 「はぁはぁ。......まだまだ。もっと柔軟性を上げなきゃ。」 そうして、また手をあげる。 毎日毎日。 ある日のこと、裏庭で踊っているといつもとは違う何かを感じた。何がどう違うのかは言葉にできないけれど、何かを感じた。 「い.....ど..ろ」 「なに!?」 耳元に声が聞こえ、体が固まる。見渡しても周りに人はいない。 体がすっと冷えていくのを感じ、あんなに出ていた汗が一気に引いていく。 でも怖いもの見たさでその場から離れることもできなかった。 「一緒に...」 「.....」 「一緒に...」 「.....」 耳を澄ませ息を殺す、でもいまいち聞こえない。 一緒にまでは聞こえるのに。もどかしくて仕方ない。 「一緒に、何?」 「踊る」 「踊る...一緒......................!一緒に踊るってこと?」 「うん」 どうやら見えない声の主は、一緒に踊りたいらしい。 でも、私は一体何と会話しているのかわからないという不安もある。 「じゃあ、一緒に踊ろう。見えないけど。」 体がこわばっている。正直得体の知れないもが今そこにいるという事実に、恐怖心を感じている。 伸ばした手は、震え、呼吸も整わない。でも、今は願いを素直に聞き入れることにした。 とはいえ私には何も見えないから、この人も一緒に踊ってくれていることを信じて、腕を大きく上げた。 続きを読む
踊り子の魔女 第二十六話:新しい仲間 家に帰ってきてからすぐに客室へ向かった。 助けてもらった日から、住まわせてもらっている部屋だ。 部屋で二人きりになると、私はシェシェといろんな話をした。 「シェシェのこと見られて、本当に嬉しいよ。」 『私もやっと本当にマリーと喋れてる感じがする。』 「本当に見られてよかった。で、さっきは全然気づかなかったけど、シェシェ、思ってたより大きいね。」 『それは、どういう意味?ほめてるの?けなしてるの?』 「ほめてるとか、けなしてるとかじゃなくて、単純な感想。」 そうなのだ、泣き止んでから落ち着いてシェシェのことを見ると、自分が思っていたよりも大きいことに驚いた。勝手に精霊は、鳥や虫のように、小さい存在だと思っていた。 猫、ほど大きくないけど、思っていたよりは大きかった。 「精霊はさ、みんなシェシェみたいな感じなの?」 『私みたいって、見た目のこと、性格のこと?』 「ああ、見た目のこと。みんなこんなに綺麗なの?」 『私ほどじゃないけど、綺麗だよ。でも、そもそも、精霊は成長につれて、自我が芽生えると、自分の思う形に成長していくの。だから、本人にとって良いと思う形だから、私が評価できるものでもないの。』 「へぇーそうなんだ、すごいね。じゃあさ、もっと、見たことない形とかになったりするってこと?」 『まあ、無いとは言わないけど、基本、成長過程で目にしたものに影響されるから、ほとんど、この世界に存在するものに近い形になる。』 「なるほど、なるほど。面白いね。じゃあ兄弟とかでも見た目が違うの?」 『それも、本人次第。似せたければ似るし。自分のなりたい姿があるならそれになる。』 「へぇ。本当、知れば知るほど、どんどん知りたいことが増えていくね。」 『まあ、焦らなくても、これから時間はたくさんあるし、マリーも精霊士を目指すから、いろんなことに出会えるよ。』 「うん。今日はあのまま特訓が終わっちゃったけど。また明日から、しっかり勉強頑張る。」 『私も協力するから、頑張って。』 コンコンッ。 ノック音とともに声を掛けられる。 「二人とも入っていいかな?」 「どうぞ!」 ワクワクした気持ちのまま返事をすると、大きな声が出てしまった。恥ずかしい。 「二人にちょっと話があってね。」 そう言いながら部屋に入ってくる先生の後ろに、小さな、青い精霊がいるのが見えて、思わず声が出た。 「先生!そ... 続きを読む
踊り子の魔女 第二十二話:反省 私は今、自分の行いを深く後悔している。 旅に出て一か月ほど。しばらくの間誰にも叱られることなく過ごしてきたため、久しぶりの、人からのお叱りはとても堪えた。 しかし、今言ってもらえていなかったら、私とシェシェとの関係は終わっていたかもしれない。そう思うと、とてもありがたいことだった。 「聞いているのかい?」 「はい、聞いてます。本当に、自分の行動がとても情けないです。」 「わかったならそれでいいよ、これ以上いうつもりはない。病み上がりにいきなりこんな話をしたこちらも、申し訳ないしね。」 「シェシェも本当に、ごめんね。私、ダンスや、シェシェの気持ち全然考えられてなかった。」 『わかってるよ、君はまだ幼いんだから、未熟な部分があるのは仕方のないことだよ。』 この町に来てから、お金のことばかりを考え、ダンスが好きな気持ちを忘れていた。 シェシェが好きになってくれた自分のダンスを忘れ、小手先のテクニックばかりを磨いていた。見栄えがいいとか、お金をもらいやすくするとか。そんな、中身のないことばかりを行い、挙句の果てには、ダンスは独りよがりで、シェシェには指示ばかり、シェシェの気持ちを考えることも、息を合わせることも忘れていたのだ。 自分ではなく、シェシェにばかり求めていた。 そんなの、人に見せるいいダンスじゃない。 自分の未熟さと、弱さを知り、今私は一つ成長できた気がした。 「はぁ、本当に情けない。お二人とも、大変ご迷惑をおかけしました。」 「まあまあ、叱りはしたがそう落ち込む必要はない。君は、しっかり自分と向き合って、今反省をすることが出来ている。それだけで十分えらい。だから、ここで腐らずより上の段階を目指してほしい。」 「上の、段階?」 「そう、君は精霊士だろう?」 「違います。」 「え、でも常に精霊と一緒にいるじゃないか。」 「シェシェは友達です。」 「なるほど、友達ね。じゃあ精霊士になるつもりはないの?」 「そうですね、無い、というか、そもそも精霊や世界のことを知るために旅に出たので、なりたいとか、なりたくないとかではないんです。まだ。」 「そういう事か、ふむ。」 そう言って女の人は黙り込んで、何やらとても悩み始めた。 なんとなく声をかけるのを、はばかられる雰囲気なので、自然とシェシェと雑談を始めていた。 「今更なんだけど、シェシェはこの人のお名前知ってるの?... 続きを読む
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