踊り子の魔女 第二十二話:反省

 私は今、自分の行いを深く後悔している。

旅に出て一か月ほど。しばらくの間誰にも叱られることなく過ごしてきたため、久しぶりの、人からのお叱りはとても堪えた。
しかし、今言ってもらえていなかったら、私とシェシェとの関係は終わっていたかもしれない。そう思うと、とてもありがたいことだった。

「聞いているのかい?」

「はい、聞いてます。本当に、自分の行動がとても情けないです。」

「わかったならそれでいいよ、これ以上いうつもりはない。病み上がりにいきなりこんな話をしたこちらも、申し訳ないしね。」

「シェシェも本当に、ごめんね。私、ダンスや、シェシェの気持ち全然考えられてなかった。」

『わかってるよ、君はまだ幼いんだから、未熟な部分があるのは仕方のないことだよ。』

この町に来てから、お金のことばかりを考え、ダンスが好きな気持ちを忘れていた。
シェシェが好きになってくれた自分のダンスを忘れ、小手先のテクニックばかりを磨いていた。見栄えがいいとか、お金をもらいやすくするとか。そんな、中身のないことばかりを行い、挙句の果てには、ダンスは独りよがりで、シェシェには指示ばかり、シェシェの気持ちを考えることも、息を合わせることも忘れていたのだ。
自分ではなく、シェシェにばかり求めていた。
そんなの、人に見せるいいダンスじゃない。

自分の未熟さと、弱さを知り、今私は一つ成長できた気がした。

「はぁ、本当に情けない。お二人とも、大変ご迷惑をおかけしました。」

「まあまあ、叱りはしたがそう落ち込む必要はない。君は、しっかり自分と向き合って、今反省をすることが出来ている。それだけで十分えらい。だから、ここで腐らずより上の段階を目指してほしい。」

「上の、段階?」

「そう、君は精霊士だろう?」

「違います。」

「え、でも常に精霊と一緒にいるじゃないか。」

「シェシェは友達です。」

「なるほど、友達ね。じゃあ精霊士になるつもりはないの?」

「そうですね、無い、というか、そもそも精霊や世界のことを知るために旅に出たので、なりたいとか、なりたくないとかではないんです。まだ。」

「そういう事か、ふむ。」

そう言って女の人は黙り込んで、何やらとても悩み始めた。
なんとなく声をかけるのを、はばかられる雰囲気なので、自然とシェシェと雑談を始めていた。

「今更なんだけど、シェシェはこの人のお名前知ってるの?」

『ううん。聞いてない』

「そっか、シェシェそういうのあんまり気にしないもんね。どうしよう、聞いたほうがいいよね。」

『まあ、会話はしにくいよね。』

「じゃあ、タイミングを見て聞いてみる。」

名前を聞きたいと思いつつ、なんとなく話しかけづらく、そのまま沈黙が続く。


「うん...、そうだな...やっぱり、育てたいな。......君、私の弟子にならないかい?」

突然、静寂を破ったのは、とんでもない提案で、自分の耳を疑った。

「え、あのもう一回言ってもらっていいですか?」

「弟子にならないかって言ったの。」

「あの、私、精霊のこと何にも知らないんですよ。」

「大丈夫、正直それだけ精霊との仲を深めているのに、知識がないことには驚いたけど、むしろそれだけ才能があるともいえる。だからぜひ、弟子にしたいと思ってるの。」

「あの、私シェシェのこと見えてもないんですよ。」

「やっぱりね、なんとなくそうじゃないかとは思ってた。それに関しては、私の弟子になればすぐに解決できると思う。」

「えっと。すみません、本当に、本気ですか??」

「私は本気。何人か弟子を育ててきたけど、あなたほどの逸材はいなかったわ。」

「......あの、すみません。一旦時間をいただきたいです。今すぐには決められません。」

「それもそうか、いきなりごめんね。私も旅をしてる身だからね。明日には返事を聞きたいの、一晩しっかり考えてみて。」

「はい。一晩あれば大丈夫です。ありがとうございます。」

「よし。じゃあご飯食べようか。」

そう言って、三人でご飯をたべ、女の人は自分の部屋へ戻っていった。

そういえば。
衝撃的なことが起こって、名前を聞くのを忘れていたと、夜中に思い出した。

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