踊り子の魔女 第六十話:個性豊かなお友達
さてさて、では始めますか!
「じゃあルル、よろしくお願いします。」
「任せて。私が教えられることは何でも教えるからね。と、その前にマリーに紹介したい子がいるんだけどいい?」
「うん?いいよ。」
「だけど、まだ来てないんだよね...あ、トーカこっち!」
ルルが手を振った方向に私も目線を移す。何となく予想はしてたけど、試験と入学式の日に見た、あの銀髪の子が歩いてきてる。そしてあと三人知らない男の子たちも一歩いてきた。
「トーカを呼んだのに、知らない人まで来たわ。」
「え、ルルも知らないの?」
「何か、トーカってめっちゃフレンドリーなんだよね。知らない人とすぐ仲良くなるの。」
「へー。すごい。」
誰とでもすぐ打ち解けるってすごいな。
「おまたせ。ごめんね、思ったより遠かった。」
「まあ、まだ私達学校の作り把握しきってないもんね。」
ふたりが仲良く話し始める。
「トーカ、この子がよく話してるマリー。結構すごい精霊士なの。トーカとも気が合うと思ってるんだよね。」
「そんな事ないよ。まだまだ修行の身だからね。...初めまして、マリーですよろしくお願いします。」
「初めまして。ルルにはトーカって呼ばれてるけど、白波十花《しらなみとおか》といいます。よろしくお願いしますね。マリーさんもトーカって読んでね。」
あ、琴音先生と同じ国の人かな。なんて思いながらふとルルのほうを見ると、なんだか呆れた顔をしてる。なんで??
「それで、そっちの二人は?どなた様?」
ルルが上半身を傾けて、トーカさんの後ろをのぞき込むように、三人の男の子たちに視線を向ける。そして三人も、なぜかトーカさんのほうをじっと見てる。
「この三人は私と同じクラスなの。二人は試験の時に知り合って仲良くなって、二人の知り合いだったセドルとは入学してから仲良くなったの。で、今日のこと話したら一緒に行くっていうから連れてきたの。って事で自己紹介よろしく。」
そう言ってトーカさんも振り向き三人の方を向いたので、私も視線を移す。
「じゃあ俺から、初めましてゼス・クランです。魔剣士を目指してこの学園に来ました。よろしくお願いします。」
「じゃあ次俺な、俺はラキア・アル・サハールだ。魔法工学を学びに来たんだ。こいつの使ってる剣は俺のお手製だぜ。」
「それじゃあ最後は僕だね。名前はセドル・エルテガ、ここには魔法の歴史を学びに来たんだ。」
「このセドルは私とは幼馴染なの、まあ、いい奴だから仲良くしてあげてねマリー、トーカ。それから二人もよろしく。」
「へぇー、あのセドルさんってあなただったんですね。」
「あのってどういう意味かな、ルルカ。」
にっこり笑いながら、でも圧を感じる顔でセドルさんがルルのほうを見ている。
「べ、別に変なこと言ってないから。多分。」
ルルの顔が、ほんの少しひきつった気がした。
ゼスさんは真面目そうで、ラキアさんはなんか、明るいというか。セドルさんは優し?そう。
というのが私の印象。
トーかさんは優等生の優しいお姉さんて感じだなー。でも、なんか、試験の日とキャラが違うような…。
「で、セドル二人とはもとから知り合いなの?」
ルルが男子たちに話を振った。
「ルペル学園で友達になったんだよ。」
ルぺル?学園ってことは学校かな?
「ルぺル学園って何ですか?」
気になったことが思わず口から出ていた。
「ルぺル学園は、魔術中等学舎のことで、十代前半の魔法を学びたい子供たちが通う学園のことです。そしてルぺル学園はイーリヤ帝国の中でも大きい学園なんですよ。」
セドルさんが丁寧に説明をしてくれて、私は子供の時から通える学校があることに驚いた。
「セドルさんありがとうございます。とってもわかりやすかったです。えっとマリーさんですよね、さんは無しでセドルでいいですよ。」
そういえば私まだ名乗ってなかった。
「すみません。私だけ名乗ってなかったですね。名前はマリーです!よろしくお願いします。それから、セドルさん、セドルって呼ばせてもらいますね。」
そういって勢い良く頭を下げた。
「俺も呼び捨てでいいからな。」
「俺もゼスで。」
「はい。じゃあ、私もマリーって呼んでください!」
「で、マリーは何を学びにこの学校に来たの?って聞こうと思ったけど、精霊がいるから精霊士ね?」
「そ、そうです。」
やっぱりここの人たちは見えるんだシェシェのこと。
「お名前は?何ておっしゃるの?」
シェシェのほうをチラッと見る。一応、言ってもいいのか許可を取ったほうがいいかなーと思って。
『シェシェ。』
と思ったら、自分から名乗った。そっけないけど。
「シェシェさんね、よろしく。」
「へぇー、精霊士か、珍しいな。」
「そうか?べつにそうでもないだろ?」
「いや、ラキアがイーリヤ帝国出身だから珍しくないだけだから。」
ワイワイとみんなで楽しくおしゃべりをしていると、ルルが手をたたいた。
パンッ!
「はいはいみんな。今日は基礎魔法の練習なんだから、しゃべってないでやるよ。」
「そうね。せっかく集まったんだからしっかり練習しないと。」
「で、トーカはいつまでそのキャラを通すの?」
また、呆れた顔でルルがトーカを見ている。
「そうだよな、なんか気持ちわりぃよ。」
「やめとけって長くは続かない。」
セドルは生暖かい目で見てる。
「あら?ダメだった?外ではこのキャラなのよ?マリーとも初めましてだし、むしろこっちが本来の姿だって思ってくれない?」
「ダメでしょ。大体友達の前では素を見せてもいいんじゃないの?けち臭い。」
「ふー。」
キャラ?素の姿??
話についていけなくて、何のことだかさっぱり。
「わかったって。はいはい、まあ素のほうが楽だからいいけど。でも、外で絶対このこと話すなよ。」
突然、優しそうなお姉さんから、低くて荒々しい声が出た。
え。
「この見た目で、この優秀さで、気づき上げてきたお嬢様のブランディングを潰したら…マジ許さねーよルル。」
え。
「わかってるって、言ったことないじゃんうるさいな。マリーも目が点になってるじゃん。」
はい。
「ごめんごめん。まあ、実際こんな感じだけど仲良くしてね。」
「いつもは優等生だけど、実際中身はがさつで適当な子だから、マリーも適当に話し合わせてあげて。めんどくさいけど。」
「わ、かりました。」
でも、なんか、これは試験の日に見た時のイメージと同じだ。
「まあまあ、この辺で練習始めるよー。」
なんか、頭が追い付いているのか、追い付いていないのか、私の頭は情報を処理できているのかわからないまま、魔法の練習が始まったけど、最初は全然集中ができなかった。
***
「それじゃあ、マリーはとにかく魔力のコントロールに注力したほうがよさそうね。」
「そうね、マリーは魔力全然ないし、増やすのは難しいし。今あるもんでどうにかしないとなー。」
「今あるものを効率よく使うってことだね?」
「そうそう、理解が早くていいね。」
だいぶフランクかつ、直球にものをいうようになったなトーカ。
「コントロールといえば、ラキアとか、トーカが得意でしょ、コツとか無いの?」
「そうなの?」
二人のほうを向く。
「ま、治癒魔術も魔法工学も繊細な魔力コントロールが必要だから。」
「こつかぁ、なんかなぁ、俺はむかしっからできたからなぁ。いいこと言ってやれねえよ。」
「使えねえな、マリーとにかく自分の中の魔力を感じるところから必要だ、そのあと体の外に出す練習をする。その時とにかくどれだけ出ているかを感じる。そこからね。」
さらっとトーカが説明をしてくれる。荒々しく。なんかトゲ増えてない??
するとポンと方に手が置かれる。
「マリー。慣れよ。慣れれば大丈夫、悪意はないし、いい子だから。」
奥でゼスとセドルがうなずいてる。
なるほどね。慣れね。じゃあ、まあ大丈夫か。
トーカにはなれるとして、とにかく今は教えてもらった通り自分の中の魔力と、外に出るときの魔力を感じられるように集中しよう。
スーッと息を吸い、目をつむる。全身に集中して、自分の中の魔力を探した。
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