踊り子の魔女 第五十話:清掃

 いた。

クレアちゃんのことでいっぱいいっぱいで、奴隷商のことを報告する暇がなく、放置してしまい気が気ではなかった。

正直、すでに逃げていると思っていたので、まだ気絶していてだいぶ驚いた。

「さて、こいつらを保安局まで連れていくか、でも正直めんどくさいし、保安局員をここに呼んでくるか。悩ましいね。」

確かに、先生の言う通り、私たちは局員でもないただの一般人。連れて行ってもいいけど、めんどくさい気持ちのほうが正直大きい。確かに、また放置するのは良くないとは思うけれど。

『ここまで来たら、連れていきなさいよ。中途半端にするのは良くない。』

シェシェの言葉にハッとした。

ここまでやって、今更放置するのも、後味が悪い。乗りかかった船だ、こうなったらきっちりこいつらを片付けてやる!

「先生!私、保安局まで行って報告してきます。」

「マリーならそういうと思ったよ。いいよ、行っておいで。私はここでこいつらを見張ってるから。早めに戻ってきてね。」

「はい!すぐに戻ってきます。」

先生に返事をすると、私は一目散に保安局へ向かった。片付けはしたい。でもやっぱり自分で連れて行くのは重いので、回収は保安局に丸投げしてしまおうと思った。

『さっさと片付けで、さっさと帰りましょう。今日はすでに、だいぶ疲れた。』

気づくとシェシェがついてきていた。

「シェシェも行くの??」

『マリーを一人にしたら、また帰ってこなくなると思ったから。』

「……。」

返す言葉がない。今日は本当に、みんなに迷惑をかけてしまった。

『あんまり落ち込まないように。マリー、あなたはとても素晴らしいことをしたんだから。』

突然シェシェが慰めの言葉をくれた。

「私、そんなに落ち込んでた?」

『見てわかるくらいにはね。』

そっか。思わずため息が出た。まさかメンタル面でも気を使わせてたなんて。

「気遣わせてごめんね。」

『気を使わせているというより。自分のことを責めてるように見えたから言っただけ。気にしなくていいの。自分の行いには自信を持ちなさい。誰も迷惑だなんて思ってないから。』

シェシェの言葉の、胸がジーンと熱くなる。

「うん。私はいいことをした!だからさっさとやることやって帰ろう!」

そうだ、私は恥じるようなことはしてない。だから、負い目を感じる必要はない。私の仲間は、そんなことで私のことを責めたりするような人たちじゃないもん。

「そうと決まれば、スピードアップ!今日みたいな日のために、体力づくりを続けてきたんだから!」

『その調子。』

シェシェに励まされ元気が出た。

みんなに心配をかけたことは、しっかり反省するけど。反省しすぎて自分の行いまで責めそうになってた。でも違うよね。ちゃんとクレアちゃんを助けたことは、誇りに思わないとね。


コメント

このブログの人気の投稿

踊り子の魔女 第一話:見えない踊りて

踊り子の魔女 第二十六話:新しい仲間

踊り子の魔女 第二十二話:反省