踊り子の魔女 第四十四話:ついに見習い精霊士
「こちらが登録証でございます。こちらは身分証としてもお使いいただけますので、日頃から持ち歩くようにしてください。また、現在はルートネア王国のアリッサムの町を、マリー様の本籍地とさせていただいておりますが、今後どちらか他の場所に永住される場合は、そちらに住所を変更していただくことも可能ですので、その際は、本部または支部へ起こし下さい。その他お困り事がある際は、ぜひ魔術師協会をお訪ねください。」
「丁寧にありがとうございました。」
先程握った石が、ペンダントになっている。しかも色が着いてる。緑色に。
「これ、さっきの石ですか?」
「そうです、しばらくすると触れた魔力の系統で色が変化するようになっています。なので、今は光るようになっています。」
ペンダントをまじまじと見ていると、受付のお姉さんが、説明を続ける。
「そちらのペンダントは、魔晶石で出来ています。最初はペンダントの形でお渡ししていますが、何かほかのものに加工したい時は、ご相談ください。料金をいただきますが、ご希望の形に加工させていただきます。また、そちらのペンダントには、他の魔術師の情報を登録できます。もし誰かに連絡を取りたい時は、紙と呪文を使用して、魔晶石を通じて連絡が取れます。詳しい使い方をここで聞いていかれますか?」
「うーん、いえ、大丈夫です。」
「それでは、身分証のお渡しはこれで完了です。遠いところ、お越しいただきありがとうございました。」
「こちらこそ、本当にありがとうございました。」
ペンダントを首にかけ、先生達の方へ向かう。
思わずスキップをしそうになったが、何とか耐えた。
「見てください!身分証です!綺麗ですね。」
「マリーのは緑色か。シェシェと契約できているから、風の気質が強いとは思ってたけど、ここまで濃いとは。さすがだね。」
「私のはってことは、先生のと色違うんですか?」
「私のは青色だよ。マリーと同じで、他の魔法の気質がないから濃いよ。」
「他の魔法も使えたら、色はどうなるんですか?それに、魔法って覚えられるものなんですか?」
「そうだよ、持っている魔力の気質というか才能のようなもので色が変わるんだ。だから人によって色は変わる。二つの魔法の属性に才能があると。その色が変わる。全く同じ比率で強いわけじゃないから、それぞれの色の量で混ざり具合が変わるんだ。いろんな気質が多いと色は明るくなる。逆に少ないほど暗い色だ。ただ、黒魔法は黒だから、おのずと暗くなるし、聖魔法は白だから、おのずと明るくなる。とまあこんな感じだけど、私もその辺の原理はよくわかってないから、これ以上は説明できない。ごめんね。」
「いえ、今ので十分わかりました。面白いですね。いろんな人の石を見てみたくなりました。」
「それから、もう一つの質問だけど、魔法は複数覚えられる。普通の魔法使いなら、基本属性の魔法のうち、ああ、基本属性っていうのは、火、風、水、土、雷の五つなんだけど。大体二つ、三つくらいは覚える感じかな。で、血統魔法を使う者たちは、そもそも希少性が高く、重宝される。他の物を覚える暇があるならそこを伸ばすのが一番いい。ゆえに、基本他の魔法を覚えようなんて思わない。って言ってたから、血統魔法の、金と銀、あと、半血統みたいな精霊士は、他のを覚えないんじゃないかな。」
「半血統。」
「精霊士は、血統で生まれやすいのは事実だからね。」
「確かに、私も一応そうですからね。」
「そう、で、私はそうじゃないからね。だから精霊士は半血統って表現せれることがあるんだ。」
「魔法、色々あるんですね。これから勉強していくのが楽しみです。」
「そうだね。じゃあ、さっさと帰ろうか。」
「そっか、もう帰るんですね。来たときは緊張してたけど、いざ変えるとなるとちょっと名残惜しいです。」
「いつでも来られる場所だ、また来たいときに来ればいいさ。」
「いつかもう一回来ます。」
寒い場所で遊ぶ楽しみを知り、また来たいと思いながら転移門の前に立つ。今度こそ、中がどうなっているのか、この目にしっかりと収める!
意気込みながら、先に言った先生の後を追い、足を入れる。
と思ったら、すでに山のふもとの転移門の前。
何もない。びっくりするくらい何もない。
「え!」
思わず振り返る。転移門の中は、ほんのり柔らかく白びかりしていて。向こう側は一切見えない。
思わず、もう一度足を踏み入れると、さっきまでいた広間に出る。
受付のお姉さんと目が合う。お姉さんがにこりと笑いかけてくれた。ちょっと恥ずかしい。
急いで踵を返すと、門のヘ足を踏み入れる。
「何してるんだいマリー。」
先生が、不思議そうに聞いてくる。
「何も、向こう側が見えないのに、でもすぐに向こうに行けて。頭がおかしくなりそうですよ。」
理解できないことを説明できなくて、何とか思ったことを口にした。
「これ面白いよね。行先は見えないのに、踏み入れれば普通のドアと変わらず、当たり前に空間がある。」
「そうなんです、本当に空間が縮んで。転移するのはわかるんですけど。なんか、すごすぎて私のあたまがついていきません。」
「いつか、青の魔術師に会ったときにきいてみたらいいんじゃないかな。」
「青の魔術師?ですか?」
「空間魔法とか、時間の魔法を使う魔術師たちの総称だよ。」
「おお、お会いできたときにはぜひ聞いてみたいです。」
「さて、帰りは熱いから、涼しい格好に戻して帰ろうか。」
上着を脱いで、私たちは帰路についた。
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