踊り子の魔女 第三十七話:健康管理第一
目を覚ますと、真っ暗で何も見えない。だんだん目が慣れて、見たことのない天井が広がっている。隣では、寝息を立ててシェシェが寝ている。
「私、今日、熱だしたんだ。」
ぽつりと小さな声でつぶやく。だんだん目が覚めて、思考が冴えてくる。
また体調を崩してしまったみたいだ。先生に、だいぶお世話をさせてしまった。これで二度目だ。旅に出てから倒れるのは三回目だ。情けない。こんなペースで、何かあるごとに倒れていたら、この先どこへ行っても誰かに迷惑をかける。今は先生がいる、でもいつか居なくなったら?シェシェに頼るの?
それはできない。シェシェは体が小さい。それに根本的に、いつでも誰かがそばにいてくれるというのを当たり前に考えるのはよくない。自分一人でも生きていけるようにしないと。
いつかは……。
いつかは、一人になるときが来るってことだよね。
体が疲れているせいか、普段考えないようなことも考えてしまう。
いつかは、いつかは先生と別れて、シェシェと二人になって。でもそれもいつまでかはわからない。一人の夜は長い。眠れない今はなおさら。
最初は、一人で旅に出るつもりだった。一人で歩いて、一人で何かに出会って、一人で眠る。それが当たり前で、そうして当然だと思っていた。でも、シェシェが一緒に来るって言って、二人の旅になった。途中一度体調を崩して迷惑をかけた。でも、誰かがそばにいてくれるだけで心強かった。
そして先生とミリに出会って。二回も倒れたところを助けてもらっている。果たして、私が一人だったら、こんなにうまく旅は進んでいたのだろうか。私はどこかで、心折れていたのではないか?思い出すとぞっとした。一人で、森で眠る様子。町で倒れても誰も助けてくれない光景。今ここで、ベッドの上ではない場所で眠っている私。
どの光景を想像しても、一人で、心細くて。具合の悪い中、恐怖にもさらされ続ける。そんな生活が、鮮明に想像できた。
こんなのだめだ。強くならないと。自分でしっかり立てるように。くよくよしてても現状は変わらない。今落ち込んでも解決しない。
考え出すときりがなくなってくる。自分の弱さ、周りの人の存在の大きさに、改めて向きあう。
そう考えると、本当に恵まれている。この言葉に尽きる。私は本当に素晴らしい人たちに出会って、今素晴らしい旅ができているんだ。
心臓がギュッとなる。目尻が、じんわりと熱くなり、涙がスッと流れ落ちた。
本当に感謝しなきゃいけない。そして、自分がもっと強くなって、みんなにたくさん恩返ししないといけない。そう心に決めた。何よりまず、体調管理。健康は第一だ、あって当然。なくすなんて言語道断!今後は自分の体の変化や、些細な体調の変化に気づくように心がけよう。
たったの四ヶ月ぽっちで、三回。月に一度くらいで体調を崩してる。とにかくこれはよくない。
もっと強く、一人でも、一人じゃなくても。もっと自信持っていられる体にしないと!思いつめるのはこれで終わり!
とにかく体力をつけないと。こんなことでへこたれるような体じゃ、この先いつか、もっと困った状況を招いてしまう。
よし!早速明日からでも、体力づくり開始だ。
まずは、先生に、原因を聞いて、しっかりと対策していかないとね。
明日からの、新しい自分になるために、ギュッと目をつむる。心の中で、強くなると念じながら。
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