踊り子の魔女 第三十五話:先生の心配事

何度も何度も、とにかく手のひらに集中して、何とか風を起こせるようになった。とはいえ、本当に一瞬なので、まずはちょっとでも維持できるように、手のひらの上で葉っぱをクルクルできるようになろうと頑張り始めた。

「マリー、あんまりこんを詰めすぎないようにするんだよ。」

「わかってます。今はまだ元気ですし、ぜんぜん大丈夫です。」

「ならいいけど、気づいてからじゃ遅いから、しっかり自分の体調を見極めるんだよ。」

「はい。」

先生が、やたら心配してくれているけど、今、ノリのっているのにやめるわけにはいかない。このまま続けたら、感覚を掴めそう。
まだまだこれから、勢いでできるようになってしまおう!

***

マリーはどうやら、調子が良いようだが、あまりやりすぎるのも良くない。
かと言って、本人が何かをつかみそうな時に、邪魔をするのは良くないしなぁ。

そう思いながら、頭を抱える。
休むように促しても、とにかく大丈夫の一点張り。体調も大丈夫そうだし、本人がやる気なら、まぁいいが⋯⋯。
何かに集中すると、人の話を聞かなくなるな。それだけ集中力があるとも言えるが、自分のことまで見えなくなってはいけない。これは1度話しておいた方が良さそうだな。
それに、シェシェもシェシェだ、マリーに甘いせいで、注意をほとんどしない。マリーに対して、何でもいいよと言うことに対して、少し話し合った方が良さそうだ。

***

そんな先生の気も知らずに、マリーはこんを詰めていた。

葉っぱをちょっと浮かせては、戻し、ちょっと浮かせては、戻しの繰り返し。ほんの一瞬浮くだけで、浮かせ続けることは出来ない。

「後ちょっと~。」

『頑張れマリー、いい感じだよ。』

「本当に??」

『本当本当。もう浮いてるから、あとはその状態を続けるだけ。』

「その、続けるだけが難しいんだよ。」

『大丈夫。ほら、私もピッタリくっついとくから。これでより、やりやすくなると思う。』

「ありがと〜シェシェ。じゃあ、もう一回。」

『行けるよ。』

手のひらに集中。瞬きも忘れるほどに見つめ続ける。
葉っぱが上がった、今、ここで止める!
自分の息そ止めて、腕に精一杯力を込める。意味ないけど。ぐっと全身に力を入れて!

葉っぱがゆらゆらしている。手のひらの上で。ほんの二秒ほど。だけど、確かに浮いていた。
バタンッ!
後ろに倒れ込んで仰向けになる。

「できた~。」

力の入らない声で、そう言った。

「よくやったじゃないか。どうだい感覚は掴めたかい?」

「正直、そうでもありません。」

「はは、そんなものだよ。繰り返しやって覚えるしかない。でも一度できたんだ、あとは浮かせられる時間を増やせばいい。そしたら、そのうち他のことがやりたくなって、イメージ出来たらできるようになる。」

「はい。ありがとう、ございます。でも、今は、ちょっともう何も、出来ません。」

「それはそうだろう。今日はここで野宿しようか。マリーは休んでいていいよ。」

「ありがとうございます。」

『さすがマリー。よく頑張った。』

『ここまで来たら、もうあと一息よ!頑張ってね。』

二人も応援してくれてる。
良かった、頑張って。

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