踊り子の魔女 第三十四話:いざ、風を読め!
とは言ったものの、案外山道は辛くなく、予定通り順調に進んでいた。ミリが言っていたよりも山道は平気で、どちらかといえば修行のほうが大変だ。
最初のうちはよかった、だんだん風の流れを感じられるようになったのを実感できていた。
でもだんだん感じられるだけで、特に進展がなくなってしまった。しかも、先生が言うにはシェシェに肩に乗ってもらっているおかげだという。つまり、シェシェが密着していないと、何も感じられないということ。
しいて言えば、お互いの雰囲気というか、存在感を、前よりも強くしっかり感じられるようになったことが、今自信を持って言える成果だ。
「はぁ……。なんか、全然進んでない。成長してない。どうしよう。」
『そんなことないわよ?お互いを強く感じるようになったというのは立派な成長の証よ。』
ミリが慰めてくれる。
「でも、前に比べて、全然進んでない気がする。」
「それは、そもそも、見えるようになった時の速さが異常だったんだよ。あれは、かなり早かったね。」
「そうなんですね。なんとなくそんな気がしてたんです、だから、今回もうまくいくかと思っていたんですけど。そんなに都合よくはいかないですよね。」
「まあまあ、そう落ち込まずに。マリーは遅いって言ってるけど、みんなこんなものだから気にしないで。それに、お互いを強く感じるっていう成果が出てるんだ、成果が全くないわけじゃないから、このまましっかり続ければ、必ずできるようになるよ。」
『そうよ。継続するのが大事よ。』
『私は、マリーのこと前より近くに感じられてうれしい。だからこのまま頑張って。』
「みんな。ありがとうございます!文句言ってないで頑張ります。」
「その調子だよ。」
言っても仕方のないことは、仕方ない。今は、今やるべきことをしっかりこなそう。
それにしても、修行を初めて思うけど、やっぱり自然って、当たり前のように近くにあるんだよね。ここ数日、風を感じてて思う。風とは違う、自然の流れっていうのかな。そんなものも感じて、すべてがあちこちに、きれいにしみわたっている感じ。
静かに、じんわりと。世界の中に溶け込んでる。
不思議と安心感が沸いて。見習い精霊士になって、また一つ嬉しくなれることが増えた。
*****
そんなこんなで、弱音を吐きつつ、眉間にしわを寄せ、風の流れを感じてはや三日。ようやく、自分でも風を感じることができるようになった。シェシェが近くにいるとき限定だけど。
本来は、離れていても風や自然を感じられなければいけない。それができて初めて、しっかり親和できているといえる。まだまだだ。
親和がしっかりできれば、もっと多くの精霊を見られるようになる。がんばれ自分!
けど、今、シェシェさえ近くにいれば。風を感じて、風を読める。
それに、なんだか風を作り出せるイメージが持てるようになった。
このイメージをしっかり頭の中に持って、そして手のひらの上に集中!したら、なんかできそうな、できなさそうな感じになる。つまりまだできない。
でもでも。本当にあと一息な気がするから。今は、手のひらの上にとにかく集中しているのだ。
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