踊り子の魔女 第三十一話:ミリってすごい

 「先生。私、イーリヤに着いたら手紙を出したいです。でも、どうやって届ければいいのか分かりません。」

「マリーは、アリッサムっていう町の出身なんだろう?大きな町なのかい?」

「トリアに比べたら、だいぶ小さいです。」

「だとすれば、国と町の名前で、少なくとも町まで届く。その後は、お母さんの名前と自分の名前を書いておけば、おおよそ届くんじゃないかな。たとえ間違って届いても、誰か教えてくれるんじゃないかな。」

「確かに。例えばほかの人に届いても、大体知り合いなので教えて貰えると思います。」

「だから、とりあえず今の情報を書いて出せば大丈夫。」

「この間見た、便箋ってやつ。あれを使ってみたいです。イーリヤにもありますか?」

「ランセまで行けばあるよ。」

「じぁあ、書けるのは1ヶ月後くらいですね。楽しみです。」

「私も、一筆書かせてもらおうかな。基本私は、どの弟子も預かる時に、親に会ってからだったからね。親としては、マリーが頼れる大人と一緒にいることは、とても安心できるからね。」

「はい。ぜひお願いします。」

『今日は、見渡す限り海ね。何もない。』

『やっぱり、船旅の中日は退屈ですね。』

『あんた、なんか面白いことできないの?』

『お、面白いこと??何がいいですか?』

『水の精霊なんだから、水芸。』

そう言って、船縁に座り、手すりに頬杖を着きながら。やや、高圧的な態度で、シェシェがミリに無茶振りをしている。

『そんな事、言っても、大雑把すぎますよ〜。』

『まあ、なんか綺麗なの見せてよ。』

『綺麗、ですか。じゃあ。』

そう言ってミリは、半円を描く様に、手を振りあげた。すると、水の魚がまるで虹のように、船の上を飛び越えていく。
一人、また一人と、人々が集まり、上を見上げる。
徐々に魚が減り、小さな水の塊が増え、船の上で集まり花の形になる。花はゆっくり私たちの元まで降りてきてクルクルと回った。

「綺麗。宝石みたい。」

透き通った水は、花の形でありながら、絶え間なく揺らめいている。
しばらくその場で回っていた花は、また上に戻り、集合して大きな球体となった。
球体は、小さな球体へと分裂し、等間隔に並ぶ。そして、三角、四角、輪っかと、色々な形になり、最後弾けて、海へ戻った。
私は、思わず立ち上がり拍手をする。

「すっごい!すごいよ!とっても綺麗だよ!何あれ?どうやったの?」

『私は水の精霊よ、あんなの自分の手足を動かすのと同じ。』

ミリがドヤ顔をしている。
周りでは、他の乗客らが拍手をしている。

「すごいな。なんだあれ?」

「お母さん、今のもう一回見たい!」

「あんなの見た事ないわ。」

皆、驚きや疑問、喜びなど、様々な感情を口にしていた。

「昨日といい、今日といい。全く今回はどうなってんだか。どうせ今日も、あんたの仕業なんだろ。」

そう言いながら、船長が先生に声をかけてきた。

「昨日のジフィアスの件は感謝してる。それに今の芸も、あんたのだろ?乗客達、特に子供は昨日の出来事で参ってた子もいる。今ので多少は気が晴れたはずだ、ありがとうな。だが、驚くから、今度からやる時は、一言声かけてくれ。」

「これは失礼。今後は気をつけますよ。」

「ああ、そうしてくれ。」

それだけ言うと、船長は戻って行った。

「というわけで、ミリ。今後は勝手をやらないように。」

『わかりましたわ。』

「元はと言えば、シェシェが無茶ぶりしたんだから。シェシェも気を付けてね。」

『わるかったよ。今度はバレないように、気をつける。』

「シェシェ?」

『まあまあ、シェシェ様も悪気があった訳じゃありませんから。ね?』

「さて、ではご飯も食べて、休憩もできた。部屋に戻って座学の再開だ。」

こうして、思わぬミリのすごさを知り、私は時間どうしながら部屋へ戻った。

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