踊り子の魔女 第二十五話:二度目の出会い
朝、布団の中で、天井を見ながら昨日の出来事を思い返していた。
昨日、本当にシェシェの姿が見えたのか、心配になってきて横を見る。すると、顔のすぐ横に、淡い緑色の光が見えて驚いた。
もしかして、毎日ここに寝てるの?まさかこんなに近いと思っておらず、ちょっと驚いた。
すると、シェシェが動いた。
『おはよう。マリー、どう?今も見えてる?』
寝起きの、芯の無い声で聞かれる。
「見えてる見えてる。私も見えるか心配で、シェシェの姿探した。」
『よかった。じゃあ今日は、完璧な私が見られるといいね。』
「うん!しっかり頑張るよ!」
そう言って、私はベッドから飛び起きた。
今日が楽しみで仕方なかったのだ、絶対シェシェを見てみせる!急いで身支度を済ませ、キッチンへ向かった。
「おはようございます。今日もよろしくお願いします。」
「おはよう、もう着替えたの?早いね。頑張るのはいいことだけど、あんまり肩に力入れすぎないようにね。続けられる量を、長く続けることが何より大事だからね。」
「はい。大丈夫です、今日は楽しみで張り切っているだけなので。」
「それはよかった。じゃあ、朝ごはんをしっかり食べて、また特訓に行こうか。」
「はい!」
手早く朝ごはんを用意し、三人で食べた。
たぶん三人。なんか、他にも気配を感じるような、感じないような。
と、気にしてもそれ以上はわからないし、勘違いってことで、気にせずご飯を食べ終わり、昨日と同じように、森へ向かった。
「よし。じゃあ、やることは昨日と同じだ。シェシェを感じることにひたすら集中して、ダンスを踊るんだ。私のことは気にせず、集中してやってね。もちろん何か困ったら、気にせず聞いてくれていいから。」
「わかりました。じゃあシェシェ、準備大丈夫?」
『私はいつでも大丈夫。』
「じゃあ、行くよ、せーの。」
そうして、昨日と同じように特訓が始まった。
葉っぱが揺れる音、遠くに聞こえる生活の音、それがだんだん聞こえなくなる。
ただただ、シェシェの存在を追うように、丁寧に集中して踊る。
目を閉じて、肌で感じることに意識を向ける。昨日よりも、そこにシェシェを感じた。
一緒に踊ってる、シェシェのリズムがつかめてくる。
楽しい。久しぶりに、本気で楽しい。自然と口角が上がった。
その瞬間、腕に感触を感じた。今までにないほど、はっきりと鮮明に。
思わず目を開けると、そこには輝く、緑色の髪がなびき、瞳も美しく輝く緑色だった。
シェシェだ、絶対に。今度は言われなくてもわかった。
「シェシェ!見えたよ!髪がこんなにきれいだったなんて知らなかったよ。」
『でしょ、これが完璧な私よ。』
「本当に...うっ、本当に......見えて、うっ、よかったよ。」
気づくと涙がこぼれていた。
すると頭に手が置かれる。
「よくできました。本当によく頑張った。正直こんなに早いと思ってなくて焦ってる。」
そう言って、いつの間にか近くに来ていた先生が、頭を撫でてくれた。
『私が、やろうと思ったのに。』
「それはごめんね。ついついかわいくて撫でたくなったんだよ。」
『もうどいて、私が撫でる。』
そう言って、シェシェが手をのせる。そこにはしっかりとした感触があった。
その感触を感じると、また涙があふれた。嬉しさと、寂しさからの解放。その両方の感情が、大粒の涙によって流されていく。
頑張ってよかった。
旅に出てよかった。
勇気を出してよかった。
色んな感情が駆け巡り、その日は練習が手につかず、泣きながら家へと戻った。
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