踊り子の魔女 第二十話:運命の出会い

 「具合はどうだい?」

突然の問いかけにマリーは答えることが出来なかった。

「ふむ。目は覚めたけど、まだ駄目そうだね。悪いけど私は少し仕事があるから、あんた、この子の様子見といてくれよ。」

『わかった。』

家主にマリーの様子を見るように言われ、私は了承した。
あの日マリーが倒れてから、なぜかよくしてくれる人間。私のことも見えているみたいで、会話の時に視線が合う。おそらく精霊士だ。

マリーが眠っていた二日間世話にはなっているけど、正直全く信用できない。何が目的でマリーを助けてくれたのか。よくしてくれていることには感謝しているが、腹の内を早いうちに探っておきたいところだ。

「シェシェ?そこにいるの?」

弱々しい、いまにも消え入りそうな、か細い声で呼ばれた。

『マリー、ここにいる。』

「私、何して...。ここは?」

『ここは、精霊士の人間の住処。マリーが倒れた時に助けてくれた人間。』

「私......そっか、あのまま。」

しばらく沈黙が流れる。マリーは明らかに憔悴している。
このまま会話を続けるのもよくないと思い、私はマリーに休むように言った。

『マリーとにかく、今はしっかり眠ったほうがいい。のどが渇いたなら、そこに水があるから。』

「うん。」

マリーは返事をし、ゆっくりと体を起こした。
コップの水を少し口に含むと、すぐにテーブルに戻し、横になる。
目をつぶると、すぐに寝息が聞こえてきたので、おそらく眠ったのだろう。

『さて、改めて、あの人間の魂胆を探らないと。マリーが危ない目に遭うのは避けないといけないから、あの精霊士に悟られないようにしないと。』

「そんな魂胆なんて、何も企んでないよ。全く、その感じあんた、そこそこ歳がいってるね。」

考え事をしていたら、精霊士の人間が戻ってきているのに気づかなかった。
そして一人でぶつぶつ話していたのが聞かれた。

『しょうがないから、この際はっきり聞くけど、私たちを助けたのはなぜ?目的があるんでしょ。』

「まあ、あるにはあるけど、別に傷つけたりするつもりはないよ。だから、その子が回復するまで面倒は見るし。名前も、その子が起きた時に改めて聞くから、そう警戒してくれるなよ。」

『......。』

私は無言で、精霊士をにらみつける。

「そう怖い顔をするなって、本当に大丈夫だから。」

しばらく無言で見つめあった。

信用はしてない。でもマリーが今動けないのも事実。今はこの精霊士の言葉を信じ、助けてもらうほかないのだろう。

『わかった。でも、もし何かおかしなことをしようとしたら、私は容赦しないから。』

「わかってますって。」

今は、とにかくマリーの回復を、最優先にすることにした。

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