踊り子の魔女 第十四話:焦り

 海の町、トリア。
この町についてから、思うようにお金を稼ぐことが出来なくなってきていた。毎日踊っていたら、町の人も見慣れてくる、そうなると飽きてくる。当然だ。特に新しいダンスを踊るでもなく、シェシェと踊りやすいダンスばかりを踊っていたせいだ。
でも、それ以外は練習していない。もっと一緒に踊れる幅を増やさなければと焦りを感じている。

お金の節約に林での野宿生活にも、正直疲れてきた。でも、現実問題お金はあまりない。

とにかく頭を無にして、ダンスの練習に力を入れる、新しいダンスをいくつか試すが、なんだか呼吸が合っていない気がして、うまくいかない。額から目に入る汗すら気にならないほどだ。
何が足りないんだろうと、ますます焦りが募っていく。

『ねえ、一旦休憩したら?』

「え、うん。そう、だね。うん。」

シェシェに促され、一旦動きを止める。
ほっと息をついて座る、足がじりじりして、思っていたよりも長い時間練習していたことに気づいた。

『焦ってるね。でも無理はよくない。』

「わかってる。わかってるんだけど、でも......。」

『ごめん。疲れてるよね』

「お金、あんまりないじゃん。これじゃこの先に進めないよ。でも。帰りたくない。」

『わかってる。わかってるよ。ちゃんと練習してるから、自分を信じて。』

「でも、なんか、なんかいまいち、呼吸があってないような。何かがずれててうまくいってない感じがするの。」

『......。』

「何?何かあるの?」

『何でもない。とにかく、今日は日も沈んできたから。無理せず寝よ?ね?』

「うん。でも......。」

『寝るの。寝ないと明日倒れる。』

「......。」

不安に押しつぶされそうな私を、シェシェは強引に寝かせる。
目を閉じると、閉じた瞼に自然と力がこもる。不安で心臓が押しつぶされそう。
今、息が出来ているのかすらわからなくなっていた。


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