踊り子の魔女 旅支度 その六
長い、長い一日だった。時間はいつもと変わらないのに、ものすごく長い時間を過ごした気分だった。でも、お腹はすいてない。食欲が全くないのだ。ぼーっとしながら椅子に座っていると、母から声を掛けられた。
「大丈夫?心ここにあらずって感じよ。何か嫌なことでもあった?今日、みんなに旅のこと話してきたんでしょ。」
「うん。みんなにはちゃんと伝えた。けど、一個困ったことがあって。」
「困ったことって?何か問題が起きたの?」
母は、料理の手を止めてすぐに向かいに座った。
「そんな大したことじゃないよ。......実はシェシェがね、一緒に来るって言ってるの。ああ、シェシェっていうのは、前に話した風の精霊のこと。来るのはいいんだけど、私精霊のことほとんどわからないし、むしろ精霊のこと知るために旅に出るんだけど。」
「まあ、本人が行くっていうならいいんじゃない。もちろん、あなたが嫌じゃないってことが前提だからね。もし、一人で行きたいなら、しっかり断ることも大事よ。」
「大丈夫。一緒に来てくれるのはむしろ嬉しい。だけど、家族じゃない人と長い時間を過ごしたことないから、それが心配なの。」
「それは、しっかり話し合えばいいのよ。お互いちゃんと言いたいこと言って、ちゃんと向き合えば大丈夫よ。もし、話し合ってうまくいかなかったら、その時どうするか考えればいいのよ。」
「ありがとう。確かに、そうだよね、今ここで悩んでも仕方ないよね。」
「そうそう。とにかく、今日はあちこち行って疲れたでしょ。ご飯すぐ作っちゃうから、食べてさっさと寝ちゃいなさい。」
「うん。」
母に励まされ、私は明日もう一度、シェシェに自分の気持ちを伝えて、しっかり話し合うことを決めた。
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