踊り子の魔女 第十話:明日の約束
あれからシェシェは、毎日のように家に来るようになった。
そうして数日間、特に何を聞くでもなく、軽い雑談と踊る日々を過ごした。
シェシェがどこから来るのか。なぜ私なのか。聞きたいことがたくさんある。でも何より、たとえ見えなくても、誰かと一緒に踊るのが楽しいってことを、久しぶりに思い出していた。
「ねえ、シェシェ。シェシェはどこから来たの?」
「森だよ。」
「森のどのへん?」
「近くだよ。」
「近くって、どこ?」
「近くは近く。近いところ。」
ある日私は、気になっていることを聞いた。
でも、いまいちよくわからない答えだった。まあ、森のどこって聞かれても、森は森だからわからないよね。
続けて聞いた。
「じゃあさ、なんで私のところに来たの?」
「前にも言ったじゃん。綺麗だったから。」
「そうか。指がきれいって言ってくれたもんね。」
「そう。気に入ったの、とっても。」
「どうやって私を知ったの?」
「うーん。それは難しい質問ね。説明しにくいけど、いいリズムを感じたから。私達風はね、音とかリズムを感じるの。」
「リズムにのるってこと?」
「ちょっと違う、音楽って物自体を感じるって感じ。人間にはわからないと思う。」
「そっか。難しいね。」
「あなたは精霊じゃないから、仕方ないよ。......そういえば、名前聞いてなかった。教えて。」
「そういえばそうね。マリーっていうの。」
「マリーね。改めてよろしく。」
「うん。よろしくね。」
最近よく喋るようになってきた。最初のときは踊ること以外興味なかったのに。これはもしかしたら、友だちになれる?チャンスかもしれない。
シェシェが心を開き始めたのを感じて、とてもうれしく思った。
「それで、今日はこれでおしまい?」
「うん。そろそろ日が沈む時間だからね。」
「わかった。......明日また来る。」
明日来る??今までそんなこと言ったことないのに。やっぱり心をひらいてくれている。私はそう確信し、シェシェに出会ってからの数日間を思いかえす。正直最初の頃は、約束もなくやってきていたシェシェに対して、また会えるのかわからない不安を感じていた。
そしてそれを、寝る前に何度も考えていたのだ。
でも今日、初めて、確かな約束ができたことに、私は今までにないほどの喜びを覚えていたのだった。
そしてもう一つ気づいたことがある。
シェシェの姿は見えないのに、私にはシェシェが帰ったことがわかるのだ。
コメント
コメントを投稿